2024.03.05 お知らせ
お彼岸には、春のお彼岸と秋のお彼岸があり、それぞれ春分の日と秋分の日を「お中日」として、
前後3日間を合わせた7日間を「彼岸会」といいます。
お彼岸の「彼岸」という言葉は「岸の向こう」という意味があり、
これはサンスクリットのパーラミター(波羅蜜多)を「到彼岸」(とうひがん)と訳したことに由来していると言われています。
様々な苦しみの世界を海や河に例え、こちら側の岸を「此岸(しがん)」といい、
苦しみから抜け出したやすらぎや涅槃の世界のことを「彼岸」と名づけられました。
この彼岸に至るまでの修行の方法を波羅蜜(はらみつ)といい
サンスクリットのパーラミター(波羅蜜多)は「完成」という意味もあり、
波羅蜜の修行が完成(彼岸)するということで「到彼岸」(とうひがん)と訳されました。
この波羅蜜の修行の方法は六波羅蜜とされ
1.布施(ふせ)
2.持戒(じかい)
3.忍辱(にんにく)
4.精進(しょうじん)
5.禅定(ぜんじょう)
6.智慧(ちえ)
の六種の修行があり、これらを六波羅蜜と言います。
この6種類の詳細は追って記事にさせていただきますが、
この初めの布施波羅蜜は、別名檀那波羅蜜(だんなはらみつ)と呼ばれており、
さまざまな施(ほどこ)しをさせて頂く修行のことです。
この布施行には、財物を施す財施(ざいせ)、
恐怖や不安を取り除き安心を与える法施(ほうせ)、
法を説き与える修行を実践する無畏施(むいせ)があります。
檀家さんのお布施でお寺を守ることができるので、
僧侶は法を説くことができ、
その法によって安心を与えることができます。
お寺で言われている「檀家さん」とは
この檀那波羅蜜から名づけられたと言われています。
また布施というと金品のイメージになりますが、金品だけではなく、
仏様は無財の七施ということも説かれています。
布施というのは「布」分け隔てなく「施」ほどこすという意味で
見返りを期待しない(損得勘定のない)行いです。
地位や財産がなくても心掛けひとつで
他人に幸せを与えることができるというのが
「無財の七施」です。
無財の七施とは自分の体を使って労力を提供したり、
温かい言葉をかけたり、優しい笑顔で人と接したりすることの意味です。
「無財の七施」
・眼施(がんせ) 温かく優しい眼差しで人に接する。
・和顔施(わがんせ) 和やかな明るい笑顔で人に接する。
・言辞施(ごんじせ) 優しく愛情のこもった言葉をかける。
・身施(しんせ) 自分の身体を使い布施する。
・心施(しんせ) 心の底から人を思いやる慈悲心。
・牀座施(しょうざせ) お年寄りなどに席を譲る。
・房舎施(ぼうじゃせ) 困っている人に一夜の宿を提供したり、休憩の場を提供したりする
一般的にはお彼岸とは先祖供養のイメージがありますが、
実は私たちが生きていくうえでとても大切なことを教えていただいているのです。
お彼岸という日を通して
改めて考えさせられます。