2024.06.21 日々のこと
「子育て地蔵」として境内に祀られている地蔵菩薩様。
当山だけでなく、お墓などでよくみられる六体のお地蔵様。
なぜお地蔵様は六体がセットなのでしょうか?
これにはとても深い意味があります。
仏教では「生まれ変わる」という教えがあります。
簡単に言うと、私たちは魂のお勉強をするために生まれてきています。
どういうことかというと、この世では6つの世界があって、これを繰り返しながら彷徨い続けています。
ひとつひとつの世界を経験し、魂のレベルを少しづつ上げていくイメージです。
このことを「六道輪廻(りくどうりんね)」と言います。
この6つの世界というのは
地獄界:悪を重ねてきた人の世界、苦しみ、憎しみの世界
餓鬼界:飢えと渇きに苦しみ、むさぼり続ける世界
畜生界:弱肉強食動物の世界、性、金、欲望の世界
修羅界:争いやけんかが絶えない世界
人間界:一般的な人間の世界
天道界:悩みや苦労がない世界(いわゆる成功者)ただ悩みが無いわけではない。
というように分かれています。
で、この世界を抜け出すことができたものが極楽浄土に行けると考えられています。
この六道の世界を抜け出すと
「四聖(ししょう)」という世界に行き、
全部で「十界(じゅっかい)」と呼ばれています。
(四聖については改めて記事にします)
私たちはこの六道は必ず経験すると言われています。
私自身ももしかしたら前世、前々前世は地獄界だったのかもしれません。
さて、次に生まれる世界を決めるのが、そうおなじみの閻魔様。
生前の行ないによって、次にどんな世界に生まれ変わるかが決まります。
人間に生まれ変わるとは限りません。
そう、閻魔様はすべてお見通し。笑。
まず亡くなった後、「中陰」という状態に入ります。
生まれ変わるまでが決定するまでの期間のことを言い、
その中陰の間に今まで生前行ってきたことを閻魔様から裁判で尋問されます。
その裁判は7日ごとに行われ、最後四十九日はとても重要な日で
どこの世界に生まれ変わるのか判決が下ります。
この四十九日は「満中陰(まんちゅういん)」とも呼ばれます。
初七日や四十九日に行う法要は
故人の成仏を願い極楽浄土に行けるようにとの願いを込めた法要です。
簡単に説明しましたが、
ここでいよいよ我らがスーパーヒーロー
お地蔵様の登場です!
「ん?なぜ」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、
説明します。
生きている間の行いが良くなく、
もし閻魔様に「君、明日から地獄ね」と言われたとします。
「まじか、俺、明日から釜茹でか…」
と絶望の淵に立たされて凹んでいる時に、
上から「シャン、シャン、シャン」と何やら鈴のような音が・・・。
ふと上を見上げると
そう我らがスーパーヒーロー!お地蔵様の登場だ!!!
そうなんです。
お地蔵さまはもし私たちが地獄に落とされそうになっても
地獄の淵から救ってくださるとてもありがたい菩薩様なのです。
6体あるのはそれぞれの役割があって
向かって右側から
檀陀(だんだ)地蔵:地獄界専門
宝珠(ほういん)地蔵:畜生界専門
宝印(ほうじゅ)地蔵:餓鬼界専門
持地(じじ)地蔵:修羅界専門
除蓋障(じょがいしょう)地蔵:人間界専門
日光(にっこう)地蔵:天道界専門
霊泉寺では、これらの六地蔵をまとめるリーダーとして
「延命地蔵菩薩」様が祀られています。
お地蔵さまは死者が生まれ変わる6つの世界をめぐって、
いつも救ってくださるとても尊い存在なのです。
私たちをいつも見守ってくださるお地蔵様に、感謝の気持ちで合掌してみてはいかがでしょうか。